さてさて。
今回は、たまにお伝えしている「不動産説教シリーズ」です。
ちょっと前に載せさせていただいた、
「大家さん、生き残りたければ、いますぐに物件の『掃除』をしに行きなさい!」
に続いての、賃貸住宅の大家さんへのお説教です。
大家さんじゃなくても、生きるための何かのヒントになる内容・・・かも? 知れませんよ。
ではでは、行ってみましょう!
「大家さん、滞納にあたふたする前に『空室が長引く』ことでの大損に深刻になりなさい!」
(なお、上記、以前の記事はこちらです ↓ )
滞納が大事故につながる例はまれです
家賃の滞納・・・これが起こると、大家さんはもうドッキリです。
いまはケースによっては、即、家賃債務保証会社が、滞納分の立て替えに動き、その後は管理会社も絡めて事務的に(しかもきわめてドライに?)処理されていくことも多いんですが・・・
それでもその間、状況報告が入るごとに、大家さんは、
「どうなるんだろう」
「マズい人を入居させちゃったのかな」
大抵は、ドキドキ、ハラハラ、やきもきですね。
さらに、一旦解決しても、不安はますます募ります。
「またやるんじゃないか」
「最後には夜逃げでもするんじゃないか」
「部屋をボロボロにして・・・山のようなゴミを散乱させて・・・ああ」
たびたび聞くそんな「大事故」のケースが、毎晩、頭を暗~くよぎるなどします。
家賃債務保証会社や、管理会社の手助けがない大家さんの場合、もっと深刻ですね。
「あ、この人、また今月も遅れてる・・・」
「電話しなきゃ、督促しなきゃ。ああ、嫌だ、嫌だ、嫌だ・・・」
すっかりノイローゼになっちゃったりする人もいます。
ただ、実際に滞納が大事故につながる例はまれです。
滞納の理由のほとんどは、
・うっかり振り込み忘れ
・しょっちゅう振込み忘れ(入居者さんの性格に起因)
のどちらかです。
この場合、入金が多少遅れるだけで、いわゆる取りっぱぐれは生じません。
大家さんはつねに悲惨な結果を想像しがちですが、
夜逃げ・・・裁判・・・多大な残置物処理費用・・・
等々、進んでいく最悪のケースが降りかかることって、実はそんなに起こるものではありません。
(ただし、あくまでゼロではないので、悪質な入居者にナメられないよう、滞納への対応は、最初の1回目にスピーディーに行うことが肝心ですよ!)
利益の逸失に焦らない大家さんの不思議
さて、そこで・・・
そんな、多くの大家さんのメンタルをプロの側から見ると、あることがとても不思議に感じられるんです。
それは、
滞納・・・即、あたふたする多くの大家さんが、一方では、
「空室が長引くことに対してはかなり無頓着であること」なんです。
募集を始めた部屋の入居者が決まらない・・・空室2ヶ月目に入った・・・
これって当然ですが、逸失収益・家賃1ヶ月分以上が確定です。
まだ決まらない・・・3ヶ月目に入った。
ハイ、逸失収益2ヶ月分以上が確定です。
3ヶ月が過ぎた・・・いよいよマズいということで、礼金をやめました。敷金も下げました。
でも、逸失収益3ヶ月分以上は確定です。
4ヶ月が過ぎた・・・
家賃7万円を6万5千円に下げました(7.1%値引き)。
ここでやっと成約・・・!
でも、逸失収益4ヶ月分以上は、確定しています。
・・・で、こんなよくあるケースなんですが、
大家さんの表情って、なぜか結構明るいんですよね。
「いやあ、やっと決まったか! よかった、よかった」
気持ちはわからないでもないんですが、その物件からは結局4ヶ月間、収入が揚がりませんでした。ゼロです。
するとこれって・・・もしも滞納に当てはめると・・・
もはやそこそこの「事故」と同等です。
単身の入居者が家賃を2ヶ月分入金しないままワンルームから行方不明。部屋に行ってみると家財は置いたままもぬけの殻・・・連帯保証人の親御さんがそれらを引き取ってくれる手筈とはなったものの、親御さんも収入に乏しく、運び出し費用は結局大家さんが自腹、家賃泣き寝入り・・・
そのくらいの損害を大家さんは被っています。
それでも、不思議なくらいに、空室が長引くことの方にはボンヤリしている大家さんって多いんです。
これってきっと、最近よく話題になる行動経済学なんかに照らすと、多分理由がつかめるんでしょうが、そちらはまた別の機会においておきましょう。
賃貸経営には「時間切れ」が存在します
そこで、今回僕から贈る言葉、
「大家さん、滞納にあたふたする前に『空室が長引く』ことでの大損に深刻になりなさい!」
なんですが、
これには大きな意味があるんです。
なぜなら、賃貸住宅経営には、必ず出口があるんです。
いつかその物件を売って手放す「出口」
取り壊して経営を終了させる「出口」
(あるいは大家さんご自身が亡くなる「出口」)
その「出口」に立つ日がやってくる前に、なるべく前倒し、前倒しで、収益を上げていかなければならないのが、賃貸住宅経営の宿命です。
つまり、この事業って、ケツが切られているんですね。
「は~い、ここで終了で~す」のタイミングを厳然と抱えているんです。
しかも、賃貸住宅は、あとになるほど、儲かりにくくなります。
建物も設備も古くなって、商品価値が下がります。修繕費も増してきます。
また、大家さん以外の皆さんにはかなり専門的な話になりますが、
「減価償却費とローン元金返済額のデッドクロス」という、経理上きわめて頭の痛い問題に柔軟に備えるためにも、
「先に、先に」のペースで、キャッシュを確保していくことがとても大切です。
心がけたい、早めのテコ入れ
なのでやはり大事なことは、とにかくなるべく、
早く、早く。
先に、先に。
募集10日で決まらないなら、広告を見直し、すぐに手だてを。
20日でダメなら次の手を。
1ヶ月ダメなら、思い切ったテコ入れを。早すぎやしません。
大家さんも、仲介会社も、管理会社も、こうした動きってなんとなくマンスリー=ひと月単位ごとに進めていく感じがどうもあるんですが、
僕は10日単位、あるいは1週間単位で手当てをしていくくらいでないと―――と、思っています。
賃貸経営って、どうしても不労所得のイメージがつよいためか、
「焦らされる」
「急がされる」
と、いったシチュエーションからは無縁であるかのような雰囲気が醸し出されていますけど、それに巻き込まれてはいけません。
特に、ローンを抱えた物件の空室は、ローンを抱えた無職の人が、そこに寝っ転がっていることと同じです。
おそまつ。
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(イラストは「かわいいイラストが無料のイラストレイン」さんより)